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【在庫僅少!】★日本の「アール・ブリュット」の原点がここに!★『しろいくに』

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村田清司/絵 田島征三/文・構成 36P 偕成社

【障がいを持つ人が絵を描けば、それは全て「アール・ブリュット」という名の芸術となるのか?】

僕は、昨夜遠い国へ行った。そこは「しろいくに」で、丘も道も家も全てが「しろい」が「しろい壁」には所々色が塗ってあった。

しかし、まちに近づくと白く見えていたものが、実はたくさんの色で溢れかえっていた。家の窓辺で女の子が大声で歌っていた。その家の前は広場で大勢の人が集まってお祭りの真っ最中!

人々はそれぞれ着飾ったり、お面を被ったり、仮装したりしていたが、その広場の隅っこで1人の男の子と出会った。その子の喋る言葉は分からなかったけど、僕らはすぐに仲良しになり、笑ったり、ふざけ合ったりしながら、僕らはまちの外に出て畑や林の自然の中で遊んだ。

僕らはもっと遊んでいたかったが、その時僕らの目の前に恐ろしいものが現れた。そして、、、。

信楽青年寮に住むダウン症の村田清司さんが描いたユニークで斬新な絵の数々を、田島征三さんが構成し、ひとつのお話にした画期的な絵本です。

【丈太郎のひとりごと】

あるお客様とレジでお会計の際に何気なく雑談していると、明日とある絵本作家の展覧会が地元でやっているので、それを観に行くとのこと。場所はその人の実家がある滋賀県とのこと。そこから滋賀の話になり、何故だか重い知能障がいをもつ人のための施設「止揚学園」や「信楽青年寮」の話になった。

そしたら、そのお客様の実家は「信楽青年寮」の近くで、しかも友人も働いていたことがあると言ったので僕は驚き、「信楽青年寮で生活している方が征三(田島征三)さんと一緒に絵本を数冊出していることを説明し「是非とも読んでみたい!」というので出版社に発注をかけました。

しかし、出版元の偕成社では「田島征三と村田清司の本」というシリーズで、3冊出版されていましたが、その中の1冊『もりへさがしに』は「重版未定」で入手不可とのこと。3冊とも1991年10月に同時期に発刊された絵本です。

しかし、出版社に頼み込んで会社や倉庫に1冊ぐらいないか?確認してもらい、見事に1冊だけ発見され、そのお客様のためにキープしています。

そして、今作ですが征三さんが書いた「あとがき」に村田清司さんとの出会い、そこから絵本を一緒に制作する過程までが詳細に記載してあります。征三さんが村田清司さんの描いた絵に魅了され、周囲の人々の協力もあり絵本にするにはかなりの壁もあったようです。

皆さんは「アール・ブリュット」という言葉をご存知ですか?フランス語の意味でフランス語で「生の芸術」を意味し、美術教育を受けていない人が、伝統や流行に影響されず、自身の内なる衝動のままに表現した芸術に使われる言葉です。

日本では最近「ヘラルボニー」という会社が障がいのある方の作品を商品化して、世界でも注目を浴びています。似たような言葉で「障がい者アート」、「アウトサイダーアート」などとも呼ばれることもありますが、ハッキリとした定義はありません。

そのため「障がい者が創作した芸術作品=アール・ブリュット」として、「ヘラルボニー」の成功を真似するような形で、残念ながら本質を見極めずに、「障がい」を売りにして「お情け頂戴」的なビジネス展開をしている団体なども増加してきていることも事実です。

健常者の創作した作品にも魅了されるものとしないものがあるように、障がい者だからと言って全ての方が人を魅了する作品を創作できるとは限りません。

今作は絵本作家に留まらず、80歳半ばを超えてもアートを生み出している征三さんが「障がいの有無」ではなく、単に素晴らしい絵に魅了され「世に出したい!」というところがスタートです。

まだ、重い知能障がいをもつ人たちが「ちえおくれ」と呼ばれていた時代で、そのような方々が描いた絵や美術作品などに誰も関心を持っていない、もちろん「アール・ブリュット」などと言う言葉が存在しない時に、征三さんが見出したものでした。

今作は村田清司さんが様々な種類のペンやクレヨンなどで、紙も様々なものに描かれた絵を征三さんが得意分野とする「絵本」という作品に仕上げたものです。

正直、最初にこの絵本を読むとしたら戸惑うでしょう。お話も絵も非現実的であり統一感もありません。まだ幼い子どもが描いたような絵に見えることでしょう。しかし、そこには「アール・ブリュット」の本来の意味でもある「加工されていない、ありのままの表現」がされているのです。

皆さんは幼い子どもが描いた絵に感動したことはありませんか?そんな感覚に近いものがあります。

何をして「アール・ブリュット」と言うのか?定義するのか?これからの課題ではあると思います。まずは今作を手に取った皆さんが、どのようなジャッジメントをするか?それは自由です。

僕の個人的な感想は、とても素敵な「2人のセイちゃん」が融合し、素晴らしいコラボレーション作品になっていると思います。

まずは繰り返し絵本を開いてください。そうすると不思議なことに自分の邪悪な面が炙り出されるような感覚になり、自らを恥じる想いをする方もいらっしゃるのでは?と思います。

何故なら僕がそう思ったからです!そう、絵本の中に飛び込んでいく楽しさを再認識した僕は、今とても清々しい気分なのです!なんだか気持ちが良いのです。

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