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【小学生必読!】『ぼくは、ういてる。』
¥1,650
なかがわちひろ/作 55P のら書店 【「ういてる」って良いこと?悪いこと?】 主人公の僕は時々浮いています。その時によって違うけれど大体20〜30センチぐらい浮いています。周りからはただぼんやりしているように見えるらしく、叱られたり、笑われたり、置いていかれたりします。 退屈して他の人と違うことを考えていたり、何か夢中になっている時に浮きやすいです。しかし、悪いことだけではありません。浮いてるからこそ思いがけないものが見えたりもします。 浮いていることは悪い気持ちにするだけではなく、良い気持ちになることもあります。よく見ると浮いてるのは自分だけでなく周りの人も全員ちょっぴり浮いてました。みんな揃って3センチぐらい浮いていたので気づきませんでした。 浮いていることが悪いことなのか良いことなのかは答えは出ませんが、自分らしく生きている姿が、文章をよりわかりやすくするような絵で描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 多数の中で自分だけ思考や行動が違うと周囲から「浮いている」」と言われることがあります。それが個性と呼ばれる良いことなのか、協調性や集中力のない悪いことかはわかりません。 この本には浮いていることについて良い悪しの判断はされていません。そんな浮いてる子どもを優しく見守る校長先生もこのお話には登場します。大人が子どもたちと接して必要な時にはフォローをするのが大切だと思います。
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【読み物】『机の下のウサキチ』
¥1,650
岡田淳 /作 223P 偕成社 【ウサギの跳ねる力を取り戻す冒険ファンタジー】 この本の主人公の小学4年生になる一平は不思議なことを体験しました。ある時、大好きなおじいちゃんが手術をするために入院をしなくてはならなくなりました。 お母さんは付き添いで行くため、お父さんが帰って来るまで、一人で留守番することになりましたが、大好きなおじいちゃんの書斎で遊んで良いことになり、おやつにコンペイトウとお茶の入った水筒を用意してくれました。 そして、留守番をしていたら突然雷が鳴り停電してしまいました。ランタンを用意して机に下に避難しました。そうしているうちにランタン以外の光のような明るいものがありました。そこは通路になっていてツタの葉のトンネルを抜けると草原が広がっていました。 草原の向こう側に何かいるようです。近づいてみると巨大なウサギでした。ウサギは一平を待っていたようで名前はウサキチと言います。ウサキチは一平のことをキョチと呼びました。 そして、ここはキョチの国であることも告げました。どうやらウサキチは「跳ねる力」をなくしたようで、一平と一緒に跳ねる力を取り戻すことを考えていたようです。 さあ二人の冒険の始まりです!果たしてウサキチの跳ねる力は取り戻せるのでしょうか? 【丈太郎のひとりごと】 児童文学の冒険ファンタジーと言えばこの本の作者の岡田淳さんがまず頭に思い浮かびます。今までも学校を舞台にした冒険ファンタジーの本など沢山発表してきました。 今回の舞台はおじいちゃんの書斎が始まりです。大好きなおじいちゃんの書斎から始まる不思議なウサギのウサキチと共に、ウサキチが失った「跳ねる力」を取り戻す冒険が始まります。 児童文学だからと言っても、大人も十分に楽しめる内容になっています。 しっかりとした構成と躍動感のある文章、これぞ岡田淳ワールドという作品になっています。
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【読み物】『おとうさんがいっぱい』
¥1,650
三田村信行/作 佐々木 マキ/絵 208P 理論社 【5つの摩訶不思議なお話】 この本には5つのお話があります。どのお話もちょっとシリアスでドキッとしたりハッとしたりする結末が待っています。 タイトルにもなっている「おとうさんがいっぱい」は、お父さんがどんどん増えていく、これまた不思議なお話です。同じ名前、声、容姿で3人になったお父さんが、自分が本物だと言い張って争いになります。 しかも、自分のお父さんだけでなく、学校でもみんなのお父さんが増えていることで話題が持ちきりです。トシオは不思議でどうして良いかわからず、全国的にも同じ現象が起こっていると言うのです。そして、結末はと言うと今度はトシオが、、、。 挿絵も不思議さを助長するかのように無機質に描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 本の冒頭に「一度、自分の心の世界の窓から外の世界をのぞいてみたら?」と意味深な一文あります。本の中で冒険してみてはいかがでしょう? 星新一のようなショートショートなお話よりもちょっと長い程度なので、小学中学年から楽しめると思います。
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【読み物】『ジョン』
¥1,760
エマニュエル・ブルディエ/作 平岡 敦/訳 192P あすなろ書房 【ザ・ビートルズのジョン・レノンの10歳の時の物語】 10歳の頃のジョン・レノンの様子を書いた小説です。 決して「良い子」ではなかったジョン。それは周囲の環境の影響もあります。母ジュリアは破天荒な人で、ジョンはミミ叔母さんの家で生活しています。そして決して裕福な状況で絵はありませんでした。 いつも世の中に不満を持ち、楽しいことが中々見つけられない日々が続く中、絵を書くことは好きだったジョン。そんな時、ミミ叔母さんの家に同じ名前のジョンが下宿生としてやってきます。 彼の部屋にはギターがあり、興味津々ですがギターは譲れないけどハーモニカならあげると、ジョンは手にします。そのハーモニカがジョンの音楽演奏の原点となるのです。 しばらくしてジュリアはジョンと約束をしたバンジョーを教え、ギターを買ってくれました。そして、ジョンは最初のグループを組み、16歳でポール・マッカートニーと出会い、のちにザ・ビートルズが結成されます。 もちろん脚色されている部分は多々ありますが、ジョンの10歳の頃の環境が書かれていており、ジョンの揺れ動く心情も伝わってきます。 ザ・ビートルズに興味のある方にはオススメの本です。 【丈太郎のひとりごと】 誰もが知っているザ・ビートルズのジョン・レノン。バンドの成功は知っていてもジョンの10歳の頃の状況は知らない人がほとんどでしょう。 文学的にも10歳の思春期の少年を描いた物語として十分に楽しめます。
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【読み物】『プラテーロとわたし』
¥1,760
J・R・ヒメネス/作 長新太/絵 伊藤武好・伊藤百合子/訳 312P 理論社 【美しく温かな光のさすような物語】 小さくて、ふんわりとした綿毛のロバのプラテーロと、わたしの物語です。 プラテーロとわたしの四季折々の日常が、まるで詩か日記のように記されています。 ひとつのひとつの出来事が細かく描写されていますが、一編ずつはとても短くゆっくり味わいながら読み進めることが出来ます。 長新太の挿絵も素晴らしく、文章を邪魔せずに寄り添うように優しく描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 毎朝「朝読」として読みました。何気ない日常から特別な日のことまで、語りかけるように書かれており、気品さえも感じます。僕はヨーロッパの古い町並みの風景をイメージしながら読みました。 空が明るくなっていく雰囲気ととても相性が良く、読んでいる時は、毎日気持ち良い朝を迎えました。読了感として、読み終わった寂しさがまだ残りますが、心地良く居心地の良い本の雰囲気は、しばらく僕の中で続くことでしょう。
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『しごとへの道1 パン職人・ 新幹線運転士・ 研究者』
¥1,430
鈴木のりたけ/作 192P ブロンズ新社 【仕事に就くまでの様々な道のり】 この本はパン職人、新幹線運転士、研究者になった人達の物語です。この3人に共通しているのは、最初からなりたかった夢ではなく、色々な人や事柄に出会い、少しずつなりたい仕事になっていくことです。 ただ一つ、共通していることは、一生懸命取り組むことです。新幹線運転士は小さな頃は野球に夢中でした。監督からの厳しい言葉などもあり、野球に励んでいましたが、紆余曲折がありながら新幹線運転士になったのです。 この本はコマ割りのイラストで物語が描かれているので、楽しく読むことが出来ます。 【丈太郎のひとりごと】 大切なのは、「今」を十分に楽しく頑張り努力する、そして、何に対しても「好奇心」を持つことです。この3人は好奇心旺盛です。その好奇心を突き詰めていけば、なりたい仕事になれることでしょう。 もしかしたら、なりたい仕事でもなかったけれども素敵な仕事になれるかも知れません。 三者三様の幼少時からの様子を読んでみて、子どもたちが今何をすべきか?何に没頭すべきか?色々と考え、将来、どんな仕事になるのかお楽しみにしておくのも良いでしょう。
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【詩集】『ともだち』
¥1,320
谷川俊太郎/作 和田誠/絵 72P 玉川大学出版部 【ともだちってどんな存在?】 「ともだちって」「ともだちなら」「ひとりでは」「どんなきもちかな」「けんか」「ともだちはともだち」「あったことがなくても」と、七つのテーマで「友達」とはどんな存在であるかを、何十編にわたり短い詩とシンプルな絵で描かれています。 それらは「友達」の定義の押し付けではなく、「友達ってこんな存在なんじゃないかな?」という投げかけであると僕は思います。 一度に最初から最後まで読み通す必要はありません。ふとした時にどのページをめくっても、きっと誰もが自身の「友達」の顔や想いが浮かんでくることでしょう。また、新しい「友達」との出会いのきっかけにもなると思います。 【丈太郎のひとりごと】 友達の定義って何?僕はそんなことを聞かれてもすぐに答えられません。しかし、この詩集を読むと色々な定義があって、そしてそれらは特別なことでもなく友達と日常的なことであったりします。 友達の関係がうまくいかなかったり、信頼出来なくなったり「友達ってなんだろう?」って考えた時にこの詩集を読むと良いかもしれません。
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【幼年童話】『バレエ団のねこ ピンキー』
¥1,540
ノエル・ストレトフィールド/作 スザンヌ・スーバ/絵 田中潤子/訳 24P のら書店 バレエの好きなネコのピンキーの仕事は、劇場いるネズミを捕まえること。しかし、ピンキーはネズミが苦手で捕まえる事が出来ません。金曜の夜になると給料を渡されるのですが、いつもクビにならないか心配です。 ある時、バレエの公演で主役のダンサーが怪我をして出れなくなります。その代役を務めるダンサーは喜ぶどころか泣き崩れています。それは演目を覚えていないので、代役が務まらないからです。 ピンキーはネズミを捕まえるのが苦手でしたが、バレエは大好きで全ての演目を覚えています。 さあ、ピンキーの出番です!代役を務めるダンサーにバレエを教えることになります。 果たしてバレエの公演はどうなるでしょう? 皆それぞれ、苦手なこともあれば得意なこともある。そして、いつかは自分の得意なことで役に立つこともあります。 この本を読むと、自分にしか出来ないことを見つける事ができるでしょう。 自分に自信が持てない子どもに読んで欲しい幼年童話です。 きっと自分の存在意義を見つける事が出来る事でしょう! 小学低学年からオススメの本です。
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【読み物】『新月の子どもたち』
¥1,870
斉藤倫/作 花松あゆみ/画 312P ブロンズ新社 主人公は小学5年生の令と言う男の子。声変わりも始まり、色々と思うことがある日々を過ごしている。そんな中、夢と現実を行き交う中で「大人になるってどんなことだろう?」と、現実社会の問題に直面したり、そして未来への希望を見出しながら「自分を見つけていく」長編小説。 詩人が書いた長編小説のため、リズムや言葉使いが良く、またゴム版画の挿絵もとても素敵! 僕はこの本を読んで、すぐに虜になりメルヘンハウスに30冊置きました!そしてお客様に「とにかく良いから!」と言って、結局は100冊ぐらい手渡してきました。 近年でこんなにも僕を熱中させる本に出合えたのがとても嬉しいです。 対象年齢は小学高学年からですが、むしろ大人にとにかく読んで欲しい本です!必読です!