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『ぼくのへや』
¥1,430
伊藤ハムスター/作 32P KADOKAWA 【他と比べることに意味はあるの?】 僕は衝撃を受けました。遊びに行ったあの子の部屋は、どこもぴっかぴかです。しかし、あらいぐまの部屋はそれが普通らしいのです。それに比べて僕の部屋は散らかっていて、あらいぐま失格です。 より良いあらいぐまになるように決心しました。物が多過ぎるので思い切ってみんなにもらってもらうのです。そうすると部屋はすっきりして素敵になりました。しかし、なんだか落ち着きません。色々と返してもらうことにします。 市場、海の中、遊園地、宇宙などに手放した物を探しに出かけます。そうしてあらいぐまの部屋は、、、。 カラフルでポップな絵で、自分にとって本当に大切なものは何か?という想いがシンプルに描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 僕の部屋もこのあらいぐままでいかなくとも、散らかっています。雑誌とかみると洗練されたお洒落な部屋とかに憧れます。 しかし、自分にとって大切なものは何であるのか?他と比べてどうなるか?この絵本はそんなことをシンプルな文章で語りかけています。
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【入手困難な絵本!】『ぼくはアーティスト』
¥3,300
ドロ・グローバス/作 ローズ・ブレイク/絵 さとうりさ/訳 40P HeHe 【アーティストとは ものをつくる力があって、つくったものを みんなに 見せてくれる人です。】 「アーティスト」は様々なアーティストがいます。画家、イラストレーター、写真家、木工職人、ガラス吹き職人、テキスタイルアーティスト、環境アーティスト、グラフィティアーティスト、陶芸家など、みんなアーティストです。 アーティストは普段どこで何をしているのでしょう?アーティストはスタジオ(作業する場所)でものを作っています。色々なものを見て、感じて、何もないゼロから作品を生み出すのです。全てが簡単に出来るものではありません。色々と試行錯誤をしながら、様々な作業工程を経て作品が出来上がっています。 この絵本では様々なアーティストのスタジオに、ヴィオラという女性とキットという少年が訪ねていき、色々なものを見たり聞いたりします。そして、自分たちも実際にアートを作ることができるのを感じとります。 色鮮やかにデザイン性が高くポップなイラストで、素敵なアーティストたちやスタジオの様子を描いています。 【丈太郎のひとりごと】 「アート」や「アーティスト」という言葉を聞くと、自分とかけ離れたことや存在に思う方もいるでしょう。しかし、それは違います。普段私たちが生きていること自体がアートなのです。色々な物事を考えたり、実行することは誰もがやっていること。そして誰もが出来ることなのです。 この絵本ではその誰もがアーティストである喜びを、様々なアーティストの様子を見ながら感じることができます。 正直なところ価格は安くはありませんが、その分だけのクオリティの高さとハイセンスさを感じる絵本です。小学生ぐらいの子どもから大人まで、子どもたちは「アーティスト」の存在を知り、大人はこの絵本自体のアーティスティックさを楽しめる絵本です。 この絵本を見ているだけでもカラフルな色使いや洗練されたデザインやイラストに、ワクワクしてテンションが上がります!
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『はじまり はじまり』
¥1,815
SOLD OUT
荒井 良二/作 32P ブロンズ新社 【新しい物語が次々とはじまる】 暗闇から「はじまり はじまり」がやってきました。それは何かのステージです。「はじまり はじまりい」と言って幕をあげました。僕はマンドリンを弾いていました。とても上手です。またもや「はじまり はじまりい」と言って幕が上がりました。今度はスイスイ泳いでいます。 次々に「はじまり はじまりい」と言って幕が上がり、つながれている犬を放してやったり、僕が小さくなって猫に踏まれそうになったり、星空になったりと色々な新しい物語が始まります。 オリジナリティ溢れる絵で幻想的な世界が描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 「はじまり はじまりい」と次々に物語が画面いっぱいに描かれています。それは留まることなく次々と始まるのです。生きていることはそんな始まりの連続なんだなぁとこの絵本を読んで思いました。 どの絵本でも荒井良二という作家は、独特の彼にしかないオリジナリティ溢れる絵本を発表し続けています。その絵本のどれもに深さを感じ、何度も読むことにより、絵本の真意にたどり着きます。この絵本はそういった意味ではとてもポジティブな気持ちにさせてくれる絵本です。
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『しごとのどうぐ』
¥1,870
SOLD OUT
三浦太郎/作 44P 偕成社 【このどうぐ、つかうのは だれ?】 のこびり、かなづち、くぎ、クランプ、さしがね、のみを使うのは誰でしょう?大工さんです。 ちょうしんき、スポイト、ちゅうしゃき、ピンセット、くすり、アンプルを使うのは誰でしょう?お医者さんです。 このように「このどうぐ、つかうのは だれ?」とその人が使う道具が描かれており、次のページで誰だかわかります。全部で10人の仕事をする人が登場します。 デザイン性の高い絵で、字のフォント(字体)も、その仕事の人にあった文字の形になっていて、細部まで絵本のこだわりを感じます。 【丈太郎のひとりごと】 2005年ボローニャ国際絵本原画展入選作品をもとに、イタリアで出版された絵本の初邦訳の絵本です。三浦太郎さんといえば絵本に詳しい方なら『くっついた』(こぐま社)が思い浮かぶ方も多いと思いますが、他にもたくさんの絵本を発刊されています。どれもデザイン性にこだわりを持った作品が多く、シンプルながらも飽きのないところが特徴です。
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『しっぱい なんか こわくない!』
¥1,760
アンドレア・ベイティー/作 デイヴィッド・ロバーツ/絵 かとう りつこ/訳 32P 絵本塾出版 【やってみないとわからない!】 世界一のエンジニアになりたい女の子のロージーのお話です。小学校の教室にいる時はたいてい大人しく座っています。しかし、誰もいないところではエンジニアのたまごに変身し、ゴミ箱をあさってメカに必要なお宝探しをします。夜遅くまで作りますが、眠るときはベッドの下に作ったメカを隠します。誰にも見られたくないのです。 もっと小さい頃は隠すことなくおじさんやおばさんに「ホットドッグせいぞうき」や「ふうせんパンツ」などのメカを作ってプレゼントしていました。ところが、動物園の飼育係のおじさんにメカをバカにされてから、エンジニアになりたいという夢も心の中にしまい込んだのです。 ある秋のこと、おおおばさんが遊びにやってきて、若い頃飛行場で働いていて、自分で作った飛行機のこと、ひとつひとつの夢を叶えてきたことを話してくれました。しかし、おおおばさんには叶えていない夢が一つだけあり、空を飛んでみたいと言うのです。 そしてロージーはああでもない、こうでもないとガラクタをいじり続けて「チーズコプター」を作りテスト飛行をしますが、、、。 白の背景をベースに細部まで細かく描かれた絵本です。 【丈太郎のひとりごと】 僕は尊敬する人に「トライ&エラーを忘れないこと」と教えてもらいました。何事にも挑戦して失敗したら何がいけなかったか検証して、またトライしてと繰り返して成長していくものだと思います。 ロージーもトライ&エラーをしながら、自分の夢を叶えて欲しいものです。人目を気にして中々一歩を踏み出せない子どもや大人にオススメの絵本です。
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『こども』
¥1,430
SOLD OUT
キャサリン・アンホルト&ローレンス・アンホルト/作 内田 莉莎子/訳 25P 徳間書店 【みんなこども!こどもは自由だ!】 おおきいこ、ちいさいこ、げんきなこ、びょうきのこ、、、「こども」と言ってもこどもそれぞれです。 「こどもって?」こどもっておかしい、おふろずき、どろんこずき、、、。 「どんなこがいる?」めがねのこ、インクでスカートよごしたこ、にこにこしているこ、、、。 「こどもってなにをする?」ちらかす、なぐさめあう、らくがきする、わめく、、、。 この他にも「どこにかくれる?」、「ポケットのなかには?」、「どんなものをつくる?」、「こわいものは?」、「いやなこってどんなこ?」、「いいこってどんなこ?」、「こどものみるゆめは?」、「ママとパパはなにしてくれる?」と単元ごとに、こどもの様子がイキイキと描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 こどもって本当に面白いですよね!メルヘンハウスの創業者であり僕の父である三輪哲の言葉で「こどもから学ぶ」という言葉があります。こどもから教わることもたくさんあります。できるだけこども扱いをするのではなく、対等に接していきたいものです。
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『いろ・いろ 色覚と進化のひみつ』(講談社の動く図鑑MOVEの科学えほん)
¥2,145
SOLD OUT
川端 裕人/作 中垣 ゆたか/絵 40P 講談社 【みんな色の見え方が違う!】 今日はとても良い天気です。子どもたちが外で絵を描いています。ある子の絵を見てみるとリンゴの木を書いているのですが、リンゴの色が茶色、葉の色が薄茶色、木の幹は緑になっています。普通に考えるとおかしいですよね? しかし、全然おかしいことではないのです。何故ならこの子は「進化型」と言える人だからです。この子にとっては自然のことです。「進化型」とは他の人とは違う見え方を身につけているのです。 年齢によっても見え方が違うし、変わって来ます。「進化型」は恐竜時代からありました。人の祖先は恐竜がまだ生きていた頃、身を守るため夜に活動していたので、暗いところでもよく見える目を持っていたようです。恐竜時代が終わり、昼間に行動するようになると、今の色の見え方になって来たのです。 現在は「進化型」の人でも見やすいように色々なマークやモノが配色されています。 色の見え方の違いの歴史や仕組みをポップでカラフルに描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 大勢の人と比較して少数派だと偏見の目で見られたりしますが、この絵本に書かれているように「進化型」という捉え方をすれば、それは立派な個性となります。その個性を尊重すること、受け入れることが大切だと思います。
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『えをかくかくかく』
¥1,540
エリック・カール/作 アーサー・ビナード/絵 25P 偕成社 【自分に正直に自由に表現をしていく!】 既成概念に囚われることなく、自分が思った通りに自由に絵を描いて行きます。 青い馬、赤いわに、黄色いうし、ピンクのうさぎ、緑のライオン、オレンジのぞうetc...。 「ぼくは えかきだ じぶんの ほんとうの えを かく かく かく」 この絵本の原題は「The Blue Hors(青い馬)」。作者のエリック・カールが実際に青い馬を描く画家に憧れて絵を描くようになったきっかけの絵が「青い馬」を描く作家だったようです。 エリック・カールには珍しくストレートなでシンプルな表現で力強く描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 エリック・カールといえば『はらぺこあおむし』のイメージがとても強いですが、この絵本はエリック・カールの中でも異色なとてもストレートなメッセージを放っています。自分の思うように描く、それは自分の思うように生きると言うことを意味しているのではないでしょうか? この絵本はエリック・カールの晩年の作品です。自分の原点に戻ってシンプルにストレートに表現したのだと僕は思います。 自分らしさや、やりたいことが何か?悩んでいる人に読んで欲しいと思うと同時に、子どもたちに「こんなに自由でいいんだ!」とメッセージを受け取って欲しいと切に願います。 僕も何かと比較して少し弱気になったりする時に、この絵本を読んで「自分らしくで良いんだ!」と自分を奮い立たせています!
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【丈太郎激推し!】『ねえ、おぼえてる?』
¥1,760
シドニー・スミス/作 原田勝/訳 40P 偕成社 【このことも、いつか思い出にできるかな。】 「ねえ、おぼえてる・・・?」と布団の中で母親が息子に向かって話しかけます。パパと3人で野原に行った時の話です。息子は「うん、おぼえてる。たのしかったよね。」と答えます。 「じゃあ、ぼくのばん。ねえ、おぼえてる・・・?」と母親に話しかけます。僕の誕生日のこと。パパに呼ばれて外へ出たら「ほら、おまえの自転車だよ」ってプレゼントをしてくれた時のことです。母親は「わすれる分けないでしょ。」と答えます。 こんなやりとりが布団の中で続きます。家を出てここへ来るまでのこと、途中で道に迷ったこと、ビルだらけの大きな街を通りやっとここまで辿り着いたこと。色々な思い出が蘇ります。 言葉少なめに情緒深い絵で、思い出とこれからのことが美しく描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 喜び、悲しみ、痛み、絶望などがドッと押し寄せるような中で、希望を見つけていく少年の姿がとても印象的です。様々な思い出が良きものとは限りません。しかし、様々なことがあったからこそ、これからのことに希望を持てるのだと思います。 とにかく多くの子どもたちや大人の方に手に取って欲しい絵本です。そして、込み上げてくる想いを子どもと大人が共有して欲しいと思います。
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『おやすみまくら』
¥1,760
斉藤 倫 うきまる/作 牧野 千穂/絵 32P 小学館 【どのまくらも気持ちいい!】 夜、おやすみしたくない「こねんこ」さん。そのわけは今日が終わってしまうからです。そこへ窓からまあるいアヒルが「わたしを まくらに どうでしょう」と入ってきました。ふわふわやわらかいアヒルさんの枕でこねんこはすぐ夢の中です。 次は森の入り口です。歩いていくと大きなキノコが枕にどうぞと言っています。ふくふくいい気持ちでこねんこははすぐ夢の中です。 その後も食パン、入道雲、くらげと続き、ひつじの群れが現れました。みんな自分の方がもこもこだと争っています。その数、「ひつじがにひき さんびき よんひき ごひき・・・・・・」 こねんこの夢の世界をふんわりとした浮遊感のある絵で優しく描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 僕は家の枕でないと良く眠れません。旅行先の枕とかの方が断然気持ち良かったりするのですが、何故か家の枕が一番しっくりきます。 とても幻想的なお話で読んでいると眠くなっていきそうです。寝る前に子どもと一緒に読むと良いかもしれません。
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『チャーリーとシャーロットときんいろのカナリア』
¥1,760
SOLD OUT
チャールズ・キーピング/作 ふしみ みさを/訳 32P ロクリン社 【カナリアが結ぶ2人の友情】 ロンドンのパラダイス通りに住むチャーリーとシャーロットはとても仲良しで、毎日一緒に遊んでいました。2人はよく市場の露店を見に行ってましたが、お気に入りは小鳥屋さんです。色々な小鳥がいる中でも2人のお気に入りは一番上のカゴにいる、いつも美しいさえずりをする金色のカナリアでした。 そんなある日、パラダイス通りに突然工事の人がやってきて古い建物を壊し始めました。真っ先に壊されたのはシャーロットのアパートです。シャーロットはお母さんと新しくできた建物の一番上に引っ越して行きました。お母さんはシャーロットに迷子になるから出かけてはダメと言います。シャーロットはベランダからパラダイス通りを眺めますが、チャーリーの姿は見えなく寂しがっていました。 チャーリーも1人ぼっちで寂しくシャーロットの家がどこにあるのかわからず、金色のカナリアを見ながらシャーロットのことを思い出します。チャーリーは金色のカナリアの買えば寂しく無くなるかもしれないと、色々と働いてお金を作り、金色のカナリアを手に入れました。 ある日のこと、チャーリーが裏庭で鳥かごの掃除をしていました。カナリアを外に出したその時、野良猫が飛びかかってきました。カナリアは驚いて飛び立ってしまいました。チャーリーはカナリアを必死に追いかけて行きました。するとカナリアは、、、 各ページの元になる配色が美しく、とても芸術性の高い絵で描かれており、1ページずつが一つの作品のようにです。 【丈太郎のひとりごと】 1967年に発刊されたこの絵本はとても味わいと芸術性があります。キャラクターものの絵本に慣れている子どもたちには少し読みにくく感じるかもしれませんが、お話の内容も絵も素敵なので、是非とも今の子どもたちにも読んでほしい絵本です。 大人はその優れた絵本というよりも、絵画を一枚一枚楽しめるような絵を是非とも見て欲しいと思います。
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『しあわせなときの地図』
¥1,540
フラン・ヌニョ/作 ズザンナ・セレイ/絵 宇野 和美/訳 32P ほるぷ出版 【思い出の場所を線で繋いでみると・・・・・・】 ソエは生まれてからずっとこの町に住んでいましたが、戦争のせいで家族と外国に逃げなければなりませんでした。町を離れる前の晩、ソエは机の上に町の地図を広げて、10年のあいだ楽しかった場所に記しをつけようと思いつきました。 最初に記しをつけたのは、自分の家です。次に学校の校舎、図書館、本屋、公園、映画館、川と記しをつけながら色々楽しかったことを回想します。そして、その記しを赤えんぴつで結んでみようと思いました。 思い出の場所を繋いだらどうなるでしょう?現れた形を見てソエはビックリして涙が込み上げてきました。それは、、、。 透き通った綺麗な水彩画でソエのさまざまな思い出の地が描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 僕には戦争体験がありません。しかし、いまだに世界中の様々地域で戦争は実際に起こっているのです。そして、過去にも戦争はたくさんありました。何故、戦争は起こるのでしょうか? 戦争が起こることで悲しむ人々がたくさん出ることを知りながらも、戦争は絶えることはありません。今一度、平和について考えさせられる絵本です。
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『あかいふうせん』
¥1,980
山田 和明/作 52P 出版ワークス 【あかいふうせんを追いかけて】 赤い風船を持った女の子がバス停でバスを待っています。次の停留所ではクマさんが待っていました。クマさんに赤い風船のことを自慢していたら飛んで行ってしまいました。バスは赤い風船を追いかけます。 次の停留所ではウサギさんが待っています。ウサギさんに赤い風船を見なかった聞くと、海の方へ飛んでいったとのことでした。海の停留所にはペンギンさんが待っています。赤い風船の見なかったか聞くと、雲と一緒に飛んで行ったとのことでした。 その後もゾウさん、キリンさんに赤い風船を聞くとようやく見つけました。しかし、風船は、、、。 必要最低限に描かれた絵はとても洒落ていて、全体的に明るいタッチなので気持ちよく読むことができます。 【丈太郎のひとりごと】 バスに次々に乗ってくる動物たちと赤い風船を探す旅、なんだか素敵じゃないですか?絵も落ち着いたトーンでシンプルに描かれているのが特徴的です。ラストのシーンではちょっと感動してしまいました。
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『ぼうし』
¥1,650
トミー・ウンゲラー/作 田村 隆一 麻生 九美/訳 32P 評論社 【飛んで行った帽子の行方は?】 ぼうしはお金持ちの頭の上で幸せに暮らしていました。ところがある日、オープンカーで飛ばしていた時に、ぼうしは風に吹き飛ばされてしましました。そして、一文無しの退役軍人の頭に着地しました。名前はベニトと言いました。 ぼうしはベニトの手からぴょんと飛び出すと宙返りをして見せました。ベニトはぼうしは生きていると思い、ぼうしにこっちに来るように命令すると頭の上にのりました。 ベニトはお金持ちの旅行者の頭の上にバルコニーから大きな植木鉢が落ちてくるのを見ると、ぼうしはあっという間に植木鉢をキャッチして旅行者を守り、ベニトはお金やら高価なものをもらいました。ベニトはびっくり仰天です。 銅像のてっぺんにいる鳥を捕まえた人には1千万円というポスターが貼ってありました。誰もが捕まえようとしますが届きません。ベニトはぼうしに「つかまえろ!」と命令をしました。ぼうしは空高く飛んで鳥を捕まえ、ベニトは大金を手に入れました。 こんな風にぼうしは大活躍しベニトはウハウハです。ある時、青年将校が若いお母さんのご機嫌を取ろうと話をしながら太い葉巻を吸っていました。ところが、その灰は乳母車の中へ落ちていきました。乳母車は燃えてびっくりしたお母さんが手を離すと長い階段を落ちていきます。 最初からその光景を見ていたベニトは、ぼうしに水で火を消すように命令し、自分は乳母車を止めました。ベニトがホッと胸を撫で下ろしていた時、今度は馬がものすごい勢いで走ってきます。さて、ぼうしと言えば命令されることもなく、、、。 クラシカルな絵で不条理な世の中を皮肉混じりに見事に描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 この絵本を描いたトミー・ウンゲラーは、僕が世界で一番好きな絵本『すてきな三にんぐみ』の作者でもあります。彼の作品はどれも社会に対するアンチテーゼ的な要素をユーモアに包み描かれているように思います。子どもには面白おかしく、大人にはそんなことを考えさせる大好きな作家です。
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『まよなかのゆうえんち』
¥1,760
ギデオン・ステラー/作 マリアキアラ・ディ・ジョルジョ/絵 42P BL出版 【誰も知らない幻想的な夜の遊園地】 動物たちの住む森に移動遊園地がやってきました。日中は多くの人達で賑わっています。そして、夜になると遊園地は静まりかえり真っ暗です。そこへやってきたのは多くの動物たちです。遊園地の柵の間から忍び込んで、電気のスイッチを入れたら華やかな夜の遊園地が浮かび上がってきました。 動物たちは色々な乗り物に乗ったり、露店で美味しいものを買ったりして楽しみます。コーヒーカップの乗り物に乗ったり、バイキングに乗ったり、メリーゴーランドに乗ったり、ジェットコースターにも乗っています。 動物たちは皆嬉しそうですが、空が段々と明るくなってきました。見回りの人もやってきましたが、何かの視線を感じたり、遊園地の異変にちょっと怪しげに思っているようです。動物たちはどうするのでしょう? 幻想的に美しく描かれたこの絵本は字はありませんが、絵を追いかけていくだけでも物語を頭の中で思い浮かべることができます。 【丈太郎のひとりごと】 移動遊園地って良いですね!なかなか日本では見かけない文化ではないでしょうか?普段は森には動物が住んでいて、人間たちが入ることのない場所に作ったので、動物たちが興味を示し遊んでもおかしくはありません。 動物たちにとって、きっと忘れられない一夜になったに違いないでしょう。とにかく絵がふんわりと幻想的で美しいので、この世界観を十分に堪能してみてください。
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『わたしのかみがた』
¥1,430
樋勝朋巳/作 28P ブロンズ新社 【かみがたのワケとは?】 帽子を取ると、頭の上部がくるくるパーマで額から後ろにかけて編み込んでいる、不思議な髪型をしています。編み込みを解くと長い髪の毛でパーマみたいにふわふわです。 昔は短い髪の毛だったのがだんだん伸びてきたのです。そして、とっても長くなりました。髪の毛の色を黄色や赤にしたこともあります。しかし、緑色にしたときは悲しい気持ちになったので、思い切って髪を切りました。新しい自分になりたかったのです。 思い切ってパーマをかけました。すごくモジャモジャになりましたが、その髪の毛に、、、。 クリームっぽいページの色に優しい風合いの色だけで描かれおり、とても穏やか雰囲気で素敵なお話です。 【丈太郎のひとりごと】 今では七三分けの僕ですが(これからどうなるかは不明)、長髪にしたり、ドレッドにしたり、脱色したり、色々な髪型にしてきました。そんなことを思い出しながらこの絵本を読み終えると、最終的に行き着いた髪の毛のスタイルが優しい感情から来ているものであり、ただの変わり者でないことがわかります。 とっても暖かく優しい気持ちにさせてくれる絵本です。
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『よるのねこ』
¥1,430
ダーロフ・イプカー/作 光吉 夏弥/訳 46P 大日本図書 【猫は夜なにをしているの?】 いつも寝る時間になるとお百姓さんのリーさんは、時計を巻いて猫を外へ出してやります。でも外は真っ暗です。さてどうするのでしょう?ねこは夜でもよく見える目があります。なんでも昼間のようによく見えて、そして全然眠くないのです。探検にはもってこいの時間です。 ねこはそっと暗闇の中を歩いていきます。色々な形、色の花、鶏小屋の中、大きなトラックやトラクター、寝ている雌牛、立ったまま寝ている馬など、色々な場所で色々なものを見ます。 猫がいく先々で何が見えるのか?暗闇の影だけ描かれた絵を見ながら、次の行き先を当てるのが楽しみな絵本です。 【丈太郎のひとりごと】 ねこは気ままで良いですね。しかも深夜徘徊を楽しむなんて、とても羨ましい限りです。黒と蛍光色の使い分けがとても素敵に描かれていて、デザイン的にも楽しい絵本です。
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【丈太郎激推し!】『アマンディーナ』
¥1,540
セルジオ・ルッツィア/作 福本友美子/訳 32P 光村教育図書 【自分を信じていれば、必ず夢は叶う!】 アマンディーナは小さな犬ですが、色々なことができます。踊りも踊れば、歌も歌い、お芝居も上手だし、難しい曲芸だって出来るのです。 しかし、アマンディーナには友達が1人もいません。もう恥ずかしがるのをやめようと決意して、舞台に出てみんなに観てもらうことにしました。町の古い使われていない劇場を借りて、自分で直して、ここでみんなに発表するのです。 そして、舞台で着る衣装や、舞台装置、小道具などを全部作りました。全ての準備が終わると招待状を出し、町のあちこちにも宣伝のポスターを貼りました。 舞台に出る前の晩、アマンディーナは満員の客席から賞賛される夢を見ました。いよいよ舞台に出る時間になりどきどきしてきましたが、この日のために一生懸命練習をしてきたのです。さあ、いよいよ幕が開きました! 劇場には誰もいませんでした。アマンディーナは途方にくれて立ち尽くしました。しかし、しばらくして自分の決めたことは全部やろうと舞台を始めたのです。劇場の破れた椅子からゴキブリが出てきて舞台を見てビックリしました。そして、早速友達を劇場へ呼んだのです。 そんなことを知らずにアマンディーナは舞台で一生懸命、自分が練習でやってきたことを演じ、演奏し、歌い、踊り、手品をして、フィナーレはあっと驚く曲芸です。 出し物が全て終わるとアマンディーナは誰もいないはずの客席へ深々とおじきをしました。そしたら、、、 セピア色の写真のような色使いで、細部までしっかりと描かれた絵は哀愁と共に感動に満ち溢れています。 【丈太郎のひとりごと】 『アマンディーナ』は僕のバイブル本の中の1冊です。どんな状況であろうとも自分で決めたことは最後までやり通すこと、自分で劇場を直したり、衣装や小道具を作るD.I.Y精神で自分自身で自分を変えていこうとする姿に感動を覚えます。 一歩踏み出すことはなかなか出来ることではありません。踏み出したとしても途中で挫折してやめてしまうことだってあります。しかし、アマンディーナは自分に負けることなく自分の為に舞台を最後まで演じたのです。 地道にコツコツと積み重ねていれば、必ずしも良いことをもたらします。この絵本は僕にそんなことを教えてくれたのです。 1人でも多くの子どもたちや大人に『アマンディーナ』を是非よんで欲しいと思います。
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『やまのディスコ』
¥1,650
スズキ コージ/作 32P 架空社 【山のディスコで動物たちが大盛り上がり!】 白馬のみねこさんはこの辺りの山では一番のオシャレです。ある日、散歩に出かけるとオートバイに乗った山羊のさんきち君に会いました。さんきち君は木に貼ってあるポスターをじーっと見ています。 それはディスコがオープンしたポスターでした。みねこさんは早速さんきち君を誘ってオートバイでディスコに出かけました。ディスコの入り口ではクマの大将が入場料は栗の実10個と呼び込みをしています。2人は栗の実10個ずつ払って、入り口のドアの階段を降りていきました。 友達もたくさんいましたが、あまり山で見かけない動物たちもたくさんいました。しばらくするとクマの大将がディスコの始まりをアナウンスしました。当店自慢の蜂の巣ミラーボールが回り、バンド演奏が始まるようです。 バンドのロックンロールが鳴り出したら、みんなディスコに来たのは初めてなのでどぎまぎしている中、みねこさんが一番に踊り出しました。するとみんなが元気づいて踊り出し、ミラーボールもくるくる回り、蜂たちも踊りました。ところがライオンのよしお君が蜂に鼻を刺されてしまいました。そしてディスコでは、、、。 土着的な迫力満載で描かれた絵は、ディスコで楽しむ動物の楽しさを大いに表現しています。 【丈太郎のひとりごと】 まず、なんと言っても「クラブ」じゃなくて「ディスコ」というのが最高です!そして山の動物たちが踊りまくる!もう見ている方としては体が踊りたくなってウズウズしてたまりません! こんな「ディスコ」があったら是非とも行ってみたいものです!
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【大人向け詩集】『たいせつなこと』
¥1,320
マーガレット・ワイズ・ブラウン/作 レナード・ワイズガード/絵 うちだ ややこ/訳 24P フレーベル館 【あなたにとってたいせつなのは・・・・・・】 スプーンは食べつときに使うものです。しかし、スプーンにとって大切なのは、それを使うと上手に食べれるということです。 雪は白いです。冷たくて軽くてふんわり空から降りてきて、きらめいています。しかし、雪にとって大切なのはいつも変わらず白いことです。 りんごは丸いです。赤くてかじると中は白く、りんごの味が口いっぱいに広がります。しかし、りんごにとって大切なのは、たっぷり丸いということです。 その他に空や靴や風や雨などの大切なことが書かれています。そして、あなたにとって大切なのは、、、。 各詩ごとにリアルにモノや風景や情景が描かれており、一枚ずつの絵画のようです。 【丈太郎のひとりごと】 モノや事象には必ず意味があります。そして、それがどれくらい?何が大切なのか? 忙しく生活している中で見逃しそうな些細なことから大きなことまでが、当たり前でないことをこの絵本に身を委ねて想いにふけるのも良いでしょう。ちょっと立ち止まってこの絵本をゆっくりと開いてみてください。
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『じかんをまもれなかったクマのはなし』
¥1,892
ジャン=リュック・フロマンタル/作 ジョエル・ジョリヴェ/絵 しみずれいな/訳 48P 河出書房新社 【時間をも守ることも大切だけど、もっと大切なこと】 クマは早起きが苦手で、朝は起きれないし、朝ごはんにも間に合わなくて食べられない、スクールバスも行ってしまい、学校に行ったら遅刻したことを怒られて授業に出してもらえません。給食にも間に合わず、帰りのスクールバスにも間に合わず、夜になっても家に帰ってきません。しまいには警察にお世話になる騒ぎ! しかし、時間が守れないのはクマが時計を読めないことに原因があるのです。早速週末の土日にクマはパパに時計の見方を教えました。月曜日が始まります。クマは時間通りに起きて朝ごはんも誰よりも早く食べて、学校にも間に合い授業が受けられるようになりました。クマは時計が読めるようになってから、絶好調!たった1ヶ月で勉強もみんなに追いつき、追い越しました。クマはなんでも一番!天才になったみたいです。 しかし、毎日忙しいタイムスケジュールでクマは「もえつきしょうこうぐん」になってしまい長い休みが必要だと診断されました。クマは山の中でゆっくり休むことにしました。ある日、クマは太陽の下、散歩に出かけました。そして、すっかり元気になったのです。その理由とは? 蛍光色をメインに使い描かれたポップな絵は、お話を明るくしてくれています。 【丈太郎のひとりごと】 最近は5時おきで朝から仕事をしたり読書をしている僕ですが、1ヶ月前ぐらいまでは7時になっても起きれない、二度寝をするようなダラけた生活をしました。クマと同じような生活でした。クマは「燃え尽き症候群」になってしまいましたが、僕は適度に休日を楽しみ充実した日々を送ってます。
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『ひみつのビクビク』
¥1,760
フランチェスカ・サンナ/作 なかがわ ちひろ/訳 33P あかつき教育図書 【ビクビクは大きくなるばかりだけじゃない】 小さなビクビクは私だけの秘密の友達です。ビクビクはいつもそばにいて私を守ってくれています。ビクビクのお陰で本当に怖い目に合わないし、ちょっと冒険して強くもなれます。 しかし、この国に引っ越してきてからビクビクはおきくなりました。新しいことを探検したいのにビクビクが邪魔をするのです。そうして、私は家から出られません。学校へ行こうとすると、重たくぎゅっと私を押さえつけます。 私はみんなの言葉がわからないし、みんなも私の言葉がわからない。昨日も今日も一人ぼっちです。きっと明日も明後日もそうです。ビクビクが私は嫌われていると言ってました。 ある日、男の子が何か言っています。自分の描いた絵を見せてくれました。かわりばんこに絵を描いたら楽しかったのです。外に出かけ2人で走っていたら犬が吠えました。男の子は悲鳴をあげてへんてこりんなものの後ろに隠れました。それはその子のビクビクでした。 それから私のビクビクはどんどん小さくなって今は学校もまあまあです。少しずつみんなのことがわかってきました。それは、、、 色使いがおしゃれなデザインが良い絵で、ビクビクという「不安」を描いています。 【丈太郎のひとりごと】 誰でも不安に想うことがあります。特に新しいことを始めたり、環境が変わる時はと不安が大きくなります。これから子どもたちは新学期が始まります。この絵本を読んで、少しでも不安が和らぐと良いと思います。
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『わたしたちをつなぐたび』
¥1,980
イリーナ・ブリヌル/作 リチャード・ジョーンズ/絵 三辺 律子/訳 48P WAVE出版 【私はどこからきたの?】 不甲斐谷を超え森を抜けたその先に、女に子が住んでいました。女の子はお母さんと幸せな毎日を過ごしていました。お母さんが女の子を想う気持ちは何よりも強く、何よりも優しく、満月よりも満ちていました。 女の子が森で遊んでいるとどの動物もお母さんとお父さんがいました。女の子はある夜お母さんに聞きました。 「どうしてわたしにはお母さんしかいないの?」 お母さんはコウノトリが女の子を連れてきたと言って、女の子の手をぎゅっと握りしめました。 女の子にはよくわかりません。お母さんから生まれてきたのではないのか?女の子はずっと考えていました。 ある日、草むらに寝転がっているとコウノトリが飛んでいるのが見えました。そして、コウノトリにどうして私をお母さんのところに連れて行ったのか聞きました。コウノトリはリスたちから預かったと言いました。女の子は森に向かいリスに私をどこで見つけたか聞きました。リスはサケが川下から運んできたと言いました。 そこで女の子は森を抜けて川に行きサケに私をどこで見つけたか聞きました。サケはキツネに川の上流まで運ぶように頼まれたと言いました。そして川に沿って進んでいきキツネに聞きました。そのキツネから女の子を見つけた場所のことを聞きました。そして、そこに行ってみると、、、。 自分の生まれてた場所を探す壮大なスケールの旅が、とてもアーティスティックな絵で描かれていて、読んだ人の心をぎゅっと掴むようです。 【丈太郎のひとりごと】 自分のルーツを探す旅をする女の子。答えを知るまでどんな気持ちだったのでしょう?ワクワクしたのが?ドキドキしたのか?不安だったのか?でも、知りたい気持ちが大きかったのか?深く優しいお話です。
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『海辺の村のパン屋』
¥1,760
ポーラ・ホワイト/作 いけだ さちこ/訳 32P BL出版 【パン屋である誇りを持つ】 丘をいくつも超えて、野原や畑を通り過ぎると大地と海が出会い、陸のはしっこに辿り着きます。そんな陸のはしっこに村があります。ここが僕のふるさとです。 魚を売る店、魚をいぶす燻製屋、鍛冶屋、カゴ職人の店、肉屋、パン屋もあり居心地の良いカフェもあります。なんでも揃う小さな雑貨やさんもあります。 誰もが海で一生懸命働きます。帆職人は帆を作り、船大工が船を作ったり直したりしているお陰で、漁師が海に出ることができます。その他にも、あみ職人やロープ職人などがいるから魚を捕まえることができます。 「海は、みんなの生活の まんなかにある 心ぞうだ。」 僕は大きくなったら海辺に住むみんなのために漁師になり、活きの良い美味しい魚を採りたいと思っています。しかし、僕のお父さんは漁師でなくパン屋です。父さんは太陽がのぼる前、船が戻ってくる前から、せっせとパンを焼いています。 「とうさんが パン屋になったのは、パン屋になりたかったからだよ」 僕の憧れの漁師でないパン屋の父の姿を見て、揺れ動き葛藤する少年の心が青がかったモノクロで静かに描かれています。 【丈太郎のひとりごと】 僕も子どもの本の専門店になりたいとは全く思っていませんでした。むしろ、人が作った作品を売るなんてクリエイティブではないと父に思っていました。 しかし、今こうして子どもの本専門店「メルヘンハウス」を二代目と名乗り、日々子どもたちに絵本を手渡しています。