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【大丈夫!孤独なんかどっかに行ってしまうから】『みんないっちゃった』

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エーヴァ・リンドストロム/作 菱木 晃子/訳 30P 小学館

【まいにち抱いている孤立感も、今日はちょっと違った】

今日もあの子達は行ってしまいました。そして、フランクはひとりぼっちに、、、。
自分だけひとりぼっちなのに、ティッティとパッレとミーランは楽しそうにしています。

何処で見かけても皆んな楽しそうだけど、なんでだろうとフランクは思うのです。

こんなことが毎日の繰り返しで、何も変わることはないのです。

でも、今日はちょっと違ったのです。仲良し3人組が「フランクったら、どこ いくのかな?」とフランクを気にし出したのです。

そんな事を知らずフランクは家に帰って流れ出る涙を鍋で受けていました。そして、鍋に溜まった涙を使って、マーマレードを作るのがフランクの毎日なのです。

「でも、きょうは ちょっと ちがった」

不思議な角度や視点から描写された町はパステルカラーを基調に所々に原色で描かれているものが配置されており、その効果でターコーズブルー、オレンジ、様々な種類のイエロー、この3色を主とした町や家の中の風景にメリハリを出しています。

【丈太郎のひとりごと】

若き頃、35年から40年ぐらい前、字幕の洋画を映画館に観に行って、始まる最初に「翻訳 戸田奈津子」と表示されると、それだけで「安心感」を覚え映画に没頭することができました。

今作の翻訳は、菱木 晃子さん。北欧の作品を中心に翻訳をされてます。そう、今では日本で新品を正規ルートで入手できない「セーラーとペッカ」シリーズ(偕成社)は、僕が愛してやまないスウェーデンの絵本でしたが、そのシリーズの翻訳も菱木 晃子さんでした。

僕は菱木 晃子さんという存在を、今では入手困難のスウェーデンの絵本で知り、今作もスウェーデン作家さんの絵本です。

今作も菱木 晃子さんの翻訳は出しゃばる事なくシンプルなもので、読者の「余白」をたっぷりと用意してくれています。原作文を知らないのでなんとも言えないのですが、あまり心情などの描写というより、その時に起こっていることを読者の伴走者のようにして翻訳されています。

今作は絵も素晴らしい!ベーシックな色はブルー、オレンジ、イエローの3色が使われてますが、どれも同色ではなく、ブルーでもパステルっぽさやターコイズブルーなど、1色の大きな括りの中で様々な色使いが、その場面に於いて使い分けられています。

全体を通してみると全く気にならずにストーリーに引き込まれています。構図も合ってるか否か?で言えば、かなり崩した構図ですが、そんなことも気にならない絵の素晴らしさです。

孤独感というものは命あるものだけに対して抱くものではなく、時にはだだっ広い町すらにも孤独感を感じるものなのです。今作の主人公であるフランクは毎日そんな孤独感を持って生きていて、毎日悲しみの涙を流します。

特に無視をされている訳ではなく、だからと言って自分から周囲の子ども達の輪に入っていく勇気もなく、楽しそうに遊んでいる3人組からも声がかかりません。ただ、お互いの存在は知っているのです。そしてお互いに興味を持っているのは確か。それが、

「でも、きょうは ちょっと ちがった」

なのです。孤独感から解放されるのは、自らが行動していくことか、あるいは周囲が手を差し伸べてくれたりすることにより「孤独から解放される」することになると思います。

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