★読書感想文で頭を悩ませている小学低学年へ★【半世紀以上前に書かれた幼年童話が復刊!】『こぶたのブウタ』
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神沢利子/作 140P 理論社
【くいしんぼうのこぶたが、オオカミの家へ!】
こぶたのブウタはくいしんぼう。食べるものなら、なんでも大すき!でも、食べられるのは大きらい!
きつねのツネタ、うさぎのミミ、ウサタ、りすのコリコたちと、毎日野原で元気にあそんでいるブウタ。ところがある日、もういないと思っていたオオカミがあらわれます。そしてブウタは、そのままオオカミの家へつれていかれることになってしまうのです!
はたしてブウタはどうなってしまうのか!くいしんぼうなブウタと、なかまたちの冒険が始まります!
挿絵は全編オール2色で構成され、素朴でやわらかな線と、限られた色数だからこそ引き立つ陰影の妙が魅力です。半世紀以上前に描かれたとは思えないほど、ブウタたちの表情はいきいきとしていて、ページをめくるたびに野原の空気やオオカミの家の緊張感までもが伝わってきます。
また8話に分かれて書かれたお話は、どれも15ページ前後と読みやすいボリュームです。
今回の新版では文章が加筆され、当時の原画も製版し直され、執筆当時をふり返る「あとがき」も新たに収録されています。
【丈太郎のひとりごと】
1971年に刊行された幼年童話が、2026年の今、新版として刊行!半世紀以上前の今作が、令和の子どもたちの手に渡る。これは時代を問わない普遍性のあるお話だからこそ出来ること。
作者の神沢利子さんは1924年、福岡県生まれ。1969年に発表した『くまの子ウーフ』は今も愛され続けるロングセラーシリーズとなり、絵本『ふらいぱんじいさん』はミリオンセラーを記録。日本の児童文学を代表する作家のひとりです。
また、その輝かしいキャリアの中で文章も絵も両方手がけたのは、唯一今作のみなのです。
「食べるのは大好き、食べられるのは大嫌い」というブウタの叫びは、シンプルながら生き物の切実さをまっすぐ伝えてくれます。オオカミの家に連れていかれるという展開にドキドキしながらも、どこかユーモラスな空気が漂っているのがこの物語の絶妙なバランス。
また「あとがき」では、きき手として長女の山田ルイさんが作者にインタビューをしています。そこで作者の神沢利子さんが現在102歳でご健在であることを知りビックリ!
しかし、衰えを感じることなくインタビューにしっかりと答えていることに驚きです。半世紀以上前の制作当時の状況や想いがしっかりとした記憶で話されているのです。
聞き手が実の娘さんということもあり、当時の作者の様子を身近で見ていたからこそのエピソードも記されており「あとがき」だけでも、とても価値があり興味深いものとなっています。
その「あとがき」には作品に込めた想いが記されているのですが、最後に「ただ、ブウタっておもしろいやつだなって、楽しんでくれるだけで、長く生きてきた作者にとってはこの上ないよろこびです。」と締めています。
つまりは作者には作品を「子どもたちに、こんなことを伝えたい」というコンセプトがあって書いたものでも、それを押し付ける訳ではなく今作を読んだ「子どもたちに楽しんでほしい」という、子どもたちへ自らのメッセージを押し付けない姿勢と、子どもたちへの信頼を強く感じました。
そのような意味でも今回の復刊に関しては、これからの「幼年童話」の在り方に対して、一石を投じる重要な作品であり、なかなか絵本から幼年童話に移行できない子どもたちでも、すんなりと受け入れられるような気がします。
夏休みの「読書感想文」などの宿題で「どの本にしようか?」迷っている小学低学年の子どもたちにオススメです!
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