★1冊で3冊楽しめる!★『ほんのなかのほんのなかのほん』
¥1,760
ジュリアン・ベール/作 シモン・バイイ/絵 木坂涼/訳 53P くもん出版
【ほんのなかに、え?!ほんがある!】
主人公はトムくん。楽しみにしていた海水浴なのに、パパとママはお昼寝をして遊んでくれません。
しかたなく、ちょっとした冒険気分で一人おさんぽに出かけるトムくん。ところが迷子になってしまい、夕方になり、帰り道がわからなくなってしまいました。
途方に暮れ砂浜でトムくんが座って海を眺めていると、一冊の本が落ちていました。
トムくんがその本をひらいてみると、、、。
今度はトムくんのスキー旅行のお話がはじまります。
スキー旅行を楽しみにしていたのに、パパとママはまたもやお昼寝をして遊んでくれません。
しかたなく、ちょっとした冒険気分で一人おさんぽに出かけるトムくん、、、。
タイトルの「本の中の本」は、決して比喩ではありません。
なんと!この絵本、実際に2冊の本が1冊の中に綴じ込まれた、しかけ絵本なのです。
言葉はまったく同じ。でも舞台となる場所が違うことで、まったく違う物語が展開していきます。
トムくんはいったいどこに行っていたのでしょうか。
しかし、物語の最後、トムくんの表情はとても晴れやかです。
それは本を読んだということだったのか?本の中に入り込んで冒険してきたということだったのか?あるいはすべてが夢だったのか?
答えは、はっきりとは描かれていません。
絵は淡い色調でまとめられ、海辺とゲレンデ、対照的な2つの舞台が、同じ構図・同じ言葉の流れの上に丁寧に重ねて描かれています。
同じ絵の配置が違う景色に置き換わっていく感覚は、読んでいるこちらまで、本の中の本の中へ迷い込んでいくような不思議な思いのまま絵本を閉じるのですが頭の中では「?」が続く絵本です。
【丈太郎のひとりごと】
本の中に、2冊の本が綴じ込まれている。しかも言葉は同じで舞台だけ違う。これ、絵本の仕掛けとしては、かなりの発明だと思います。
メルヘンハウスでも子どもがパパやママに「もう一回読んで!」とせがむ光景をよく目にします。この絵本を読んだら、子どもはせがむことはないでしょう。何故なら1冊の中に、本当の意味で「もう1回」どころか2回、合計3回の内容を読むことが出来る3冊の本になっているのだから!
トムくんが最後に見せる晴れやかな表情の理由、僕は正直まだ答えが出ていません。読むごとに、冒険だった気もするし、夢だった気もする。この「わからなさ」こそ、この絵本の一番の魅力なんじゃないかと思います。
ザラついた紙質、景色の空の部分にはボーダーの白い線がアクセントとして入り、所々に色のカスレがあったりと、デザイン的にも子どもだけではなく大人もアート絵本として楽しめることでしょう。
本体の絵本を入れれば3冊の絵本を楽しむことが出来るし、子どもの発想力や想像力がフル回転し出したら4冊にも5冊にも何百冊にも、これこそ本当の「ネバーエンディング・ストーリー」!
さぁ、子どもたちよ!どこまでも自由に本の中へどんどん入って冒険旅行を楽しんでおくれ!
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