★自由に溢れた言葉遊びとユーモアな絵が見事にマッチング★『トリの とりちがえ』
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内田麟太郎/作 高畠那生/絵 32P 文研出版
【とりちがえたって、いいんだよ】
「ぼくはトリだから、とりかえしがつかないことなんてないなあ」
そう胸を張って言うトリがいます。
でも、そんなことはありません。
あのトリの羽は、しゃもじ。
あのトリの羽は、羽子板。
羽であるはずのものが、いつのまにか見慣れた道具の姿に変わっている。
トリなのだから、こういう羽をしていなければおかしい。そんな思い込みを、このトリたちは涼しい顔で裏切ってきます。
しゃもじの形をした羽で、いったい何をすくうのでしょう?
羽子板の形をした羽で、いったい何を打ち返すのでしょう?
想像すればするほど、くすりと笑いがこみあげてくる。そんな「とりちがえ」の連続です。
正しいトリの姿とは、いったい何なのか?
高畠那生さんの絵は、ゆるさとシュールさが絶妙なバランス!トリの羽が見慣れた道具に変わっていくという、突拍子もないビジュアルの連続を、ひょうひょうとした表情で描いています。
【丈太郎のひとりごと】
内田麟太郎さんといえば、言葉のリズムと発想の飛躍で読者を毎回煙に巻いてくれる、詩人であり文章作家です。しかも、ユーモアを得意にしながらも、時には胸がギュッとなるような、言葉の魔術師です。
「トリ」だから「とりちがえない」なんてことはない、という理屈にならない理屈。でもこれ、よく考えると人間にも刺さる話だと思うのです。
僕たちは普段、「間違えてはいけない」「失敗してはいけない」という空気の中で生きています。でもこの絵本の中のトリたちは、堂々と羽をしゃもじや羽子板に変えて、涼しい顔をしています。とりちがえることを、恐れるどころか楽しんでいるようにすら見えるのです。
しゃもじの羽を持つトリ、羽子板の羽を持つトリ。想像するだけで、それぞれのトリにどんな性格が宿っているのか?勝手に物語を膨らませたくなります。この余白の残し方も、内田さんならではの言葉遊び!
一見すると「ただ面白い絵本」ですが、深読みをするとそこには「自由」や「想像」
というワードが浮かんできます。しかし、そこは考え過ぎ!純粋に面白おかしくページを読み進めれば良いだけのこと。
「何の意味があるの?」
こんな野暮ったいことは考えたくないですね!
高畠那生さんのお父さんで、同じく絵本作家の高畠純さんと内田麟太郎さんとのコンビの絵本もとっても面白いですが、今作は高畠那生さんの絵と見事なマッチングで読者を楽しませてくれます!
親子で活躍している絵本作家って他にいたかなぁ?絵のスタイルは違えどユーモアというベクトルは一緒!やっぱり親子なんだな!って思います。
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