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【今、注目の阿部結さんの新作】『コット、はじめてのドライブ』

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阿部結/作絵 40P 佼成出版社

【うつろいゆく世界で、かわらないものを見つける物語】

「コット、ドライブに いくよ」
「ドライブ? それって どこに あるの?」

大好きなお父さんと、はじめてのドライブ。ジャンパーを着て、おやつのバナナを持って、シートベルトをしっかり締めて出発です。

ちょっぴり怖かったトンネルを抜けた先に待っていたのは、春の光に包まれた大きな湖と白鳥、そしてもうすぐ咲くという桜の木。白鳥はこれから北へ長い旅に出ること、桜の木は四季それぞれに姿を変えていくこと。お父さんは、コットの目に映るものをひとつひとつ、ていねいに教えてくれます。

「もう おひさまが いえに かえっていく じかんだ」

太陽が沈み、夜がきて、また新しい一日がはじまる。今日見てきたものは、ぜんぶ、ぜんぶ、移ろいゆくものばかり。コットはふと思います。

「ずっとかわらないことって、あるのかな」

お父さんがくれた、とっておきの答えに、読者は何とも言い表せることのできない感情を抱くことでしょう。

落ち着いた色彩で、光と影のコントラストが素敵に描かれています。見開きのページは、一編の短編映画を見ているかのような光景が広がります。

【丈太郎のひとりごと】

作者の阿部結さんといえば、昨年刊行した絵童話『どろぼうジャンボリ』( https://shop.meruhenhouse.com/items/103826037 )が未だに大ブレイク中ですが、今作はまた画風も異なり、2022年に刊行された『なみのいちにち』( https://shop.meruhenhouse.com/items/103910756 )に近い作風と言えるでしょう。

日々流れ行く情景描写の中にある、その時々の一瞬の感情や風景がそっと静かに絵本の中に込められているような感じがします。そして、

「変わらないものなんて、この世にあるのだろうか」

僕はそんな生きていくうえで、永遠に答えを出すことのできない問いかけをされているように思いました。

今作に出てくるものは、ことごとく「移ろっていくもの」ばかりです。でもだからこそ、お父さんが最後にコットに対しての「答え」が、ものすごく僕の感情を揺さぶりました。

僕も今までに息子とふたりでドライブがてら様々な場所に出かけたことか。ドライブなんてのは、ただ目的地を目指してく途中でしかなかったように思っていましたが、今作を読むと目的地までの過程での景色、車内での息子との何気ない会話など、それこそが無形の宝物であったのだと。

息子が成長してく過程で、こんな機会が減ったのは確かです。自分の仕事の忙しさで、ついつい息子との時間を疎かにしている自分にもハッとしてしまいました。どんどん親離れをしてく息子と「あとどれぐらいこんな時間が持てるのだろうか?」なんだか切なくもなり、でも、そしてその時々を大切にしようと思うのでした。

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